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14世紀のワヤンべベル

beber foto kuno
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ワヤンべベルの研究書

アジア文化論II(東南アジア古典文化論)
2009 年2 月5 日(木)4 限
ジャワにおける仏教物語の進化
1. 7 世紀以降の東南アジア
􀂊 「小乗」・大乗・密教併存の時代
􀂊 南伝仏教(南方仏教)≠「小乗」上座仏教
􀂊 「あるいは大乗をとき、小乗をとき、あるいは実教をひろめ、権教をひろむ」(黒谷上人語灯録)
􀂊 『南海寄帰内法伝』(義浄、7 世紀)
􀂊 ボロボドゥール寺院(中部ジャワ、9 世紀)
􀂾 「小乗」レベル:浮き彫り
􀂊 仏伝、ジャータカ
􀂾 「スタソーマ・ジャータカ」
􀂊 大乗レベル:浮き彫り
􀂾 『華厳経入法界品』(善財童子の巡礼)
􀂊 密教レベル:仏像
􀂊 五仏思想
􀂾 第 1 層~第4 層ニッチ
􀂗 東側…阿閦如来
􀂗 南側…宝生如来
􀂗 西側…阿弥陀如来
􀂗 北側…不空成就如来
􀂾 第 5 層四面ニッチ
􀂗 毘盧遮那仏=大日如来Mahāvairocana
􀂾 円壇小ストゥーパ
􀂗 釈迦如来
2. 14 世紀以降のジャワとバリ
􀂊 『スタソーマ・カカウィン』
􀂾 密教に統合された仏教とヒンドゥー教
􀂾 ジャータカ(スタソーマ・ジャータカ)
􀂾 菩薩の転生⇒大日如来の転生
􀂾 スタソーマという主人公
􀂾 人食いの調伏というテーマ
􀂊 仏伝の骨格
􀂾 王子としての出生
􀂾 結婚・家族⇒結婚前に出家
􀂾 出家・修行・悟り(ブッダ)⇒出家・修行・悟り(大
日如来)
􀂾 出家者として布教⇒即位、王として結婚・家族、敵
への対処
􀂊 ヒンドゥーの英雄
􀂾 山中で苦行
􀂾 神から恩寵(武器)⇒大日であることの自覚
􀂾 悪鬼を倒す⇒悪鬼を調伏
􀂊 不二一元論:聖(僧)=俗(王)
􀂊 王(武力)⇒王=僧(非戦)
東南アジア古典文化概説 講義 2008S2-#11
スタソーマの概要:スタソーマの主要登場人物の紹介とあらすじ
スタソーマSutasoma.別名「プルシャーダ・シャーンタ」(調伏された人喰い).マジャパヒト朝の宮廷詩人
タントゥラル(Tantular)作のカカウィン.148 詩篇.1365-89 年頃に成立.
・物語の時間/物語の空間/間テキスト性/コンテキスト性(青山1995, 1997b)
・スタソーマ・ジャータカ(パーリ語ジャータカ第537 話)(青山1986)
・バリ島クルンクン旧王宮のバラ・カンバン天井画(青山1997a)
1. 登場人物
マハーケートゥMahāketu ハスティナに都するクル族の王.スタソーマの父.
スタソーマSutasoma ハスティナの王子.マハーケートゥの息子.
ケーシャワKeśawa 聖者.
スミトラSumitra 聖者.スタソーマの母の伯父.
ダシャバーフDaśabhāhu スタソーマの母方のイトコ.カーシー国の王.チャンドラワティーの兄.
ブラフマー神の恩寵の子.
チャンドラワティーCandrawatī スタソーマの母方のイトコ.ダシャバーフの妹.
アルダナArdhana スタソーマとチャンドラワティーの息子.
プルシャーダPuruśāda 「人喰い」.本名ジャヤーンタカ.ラトナカンダ国の王.
ガジャワクトラGajawaktra 「象頭」.象の化け物.ガネーシャ.
ティロータマーTilottamā 天女.
ワイローチャナWairocana 密教の教主としてのブッダ.毘盧遮那仏.大日如来.
ローチャナーLocanā ワイローチャナの明妃.
デーワンタカDewantaka アワンガ国の王.プルシャーダの同盟者.コーシャの兄.
コーシャKośa マガダ国の王.プルシャーダの同盟者.デーワンタカの弟.
インドラIndra 神.帝釈天.
ブラフマーBrahmā 神.梵天.宇宙の創造を司る.
シワŚiwa 神.シヴァ.宇宙の破壊を司る
ウィシュヌWiṣṇu 神.ヴィシュヌ.宇宙の維持を司る.
ルドラRudra 神.シワ神の別名.
カーラKāla 神.インドでは「時間」の意で死の神ヤマ(閻魔)の別名.ジャワでは死
と破壊をもたらす鬼神.現代ジャワ語コロ(Kala)
2. あらすじ
1) 【スタソーマの誕生】カリの時代,ハスティナに都するクル族の末裔マハーケートゥ王は,悪鬼らの跳
梁に悩まされていた.悪鬼退治の希望を未来の王子に託した王の祈りに応じて,ワイローチャナ
(Wairocana,毘盧舎那,大日如来)自身が王子として誕生(転生)し、スタソーマと名付けられる.
2) 【スタソーマの出家】王子は,人々の期待に反して,悟りを求めて秘かに王宮を抜け出し,修行の旅
に出る.墓地で瞑想中に現れた女神にスメール山(Sumeru,須弥山)で修行するように勧められた
スタソーマは,旅の途中の庵でケーシャワ尊者に会う.尊者はスメール山まで王子に同行することに
なる.
3) 【スミトラ尊者】旅を続けるスタソーマは山中の庵でスミトラ尊者に出会う.スミトラ尊者はスタソーマの
母方の大伯父である.スミトラ尊者はスタソーマに以下の物語を語り,スタソーマだけが世界を救える
と訴えるが,王子の求道の決意は揺るがない.
***
【スミトラ尊者の物語】
カーシー国の王(スミトラおよびスタソーマのきょうだい)はブラフマー神の恩寵を得て息子ダシャバ
ーフを授かる。父王が死去したあと王位を継いだダシャバーフはハスティナ王と同盟を結び、悪鬼た
ちの退治に力を注いでいる。また、彼の妹(スタソーマの妹)チャンドラワティーはスタソーマの妻とな
東南アジア古典文化概説 講義 2008S2-#11
るのにふさわしい女性である。一方、前生においてブッダによって調伏された悪鬼シュチローマは、
ラトナカンダ国の王子として転生している。ルドラ神(シヴァ神の別称)に帰依した王子は悪鬼の本性
がよみがえり、今ではプルシャーダ(人喰い)と呼ばれ,,悪鬼の軍隊を率いて人々を襲うようになっ
て世界中の人々から畏怖されている。これを退治できるのはブッダの転生であるスタソーマだけであ
る。
***
4) 【三匹のけだものとの出会い】スメール山頂へ向かうスタソーマの一行は深い森を通過する.森のな
かでガジャワクトラ(象頭の化け物)が襲いかかるが,スタソーマの瞑想の力によって調伏される.さら
に進むと大蛇が襲いかかるが,これもガジャワクトラとスタソーマによって調伏される.さらに進む一行
は,空腹に苦しむ雌虎が自分の子を食おうとするところに出会う.スタソーマは子虎を解放し,雌虎
に自分の体を与える.スタソーマの血を飲んだ雌虎が犯した罪に気付き後悔しているとインドラ神が
現れ,スタソーマを生き返らせる.山頂についたスタソーマは弟子となった三匹にシワ派のヨーガ修
行と仏教の不二(advaya)のヨーガの教えなどを説いたあと,一人となって山頂に行き瞑想に入る.
5) 【スタソーマの本性顕現】瞑想に専念するスタソーマの心を俗界に引き戻してプルシャーダの調伏に
向かわせようと,インドラ神はティロータマを初めとする天女たちにスタソーマの誘惑を命じて送り込
むが失敗する.そこでインドラ神自らが美しい女神に変身してスタソーマを誘惑しようとする.その瞬
間,神々の意を察したスタソーマがワイローチャナの姿に変じると,その前にインドラ神他の神々や
聖人たちが集まり,スタソーマにプルシャーダの調伏を祈願する.
6) 【ダシャバーフとの出会い】神々の願いを聞き入れたスタソーマは王子の姿にもどり,ケーシャワ尊者
とともに飛行して山を降りる.偶然の機会からスタソーマはダシャバーフと出会う.ケーシャワ尊者の
説明でいとこ同士と知ったダシャバーフは大いに喜び,スタソーマをカーシー国に招き,妹のチャン
ドラワティーを妻として与えることを申し出る.
7) 【カーシーへの旅】カーシー国への旅の途上,一行は廃墟となったアワンガ国を通過する.ダシャバ
ーフはそれを見て事情を説明する.
***
【ダシャバーフの物語】
アワンガ国のデーワンタカ王とそのきょうだいであるマガダ国のコーシャ王がそれぞれダシャバーフ
の妹(チャンドラワティー)と近親の王女との結婚を申し出たとき、ダシャバーフが拒否したために、戦
争がおこった。ダシャバーフに破れた二人の王は国を逃れてプルシャーダと同盟を結んで今にいた
っている。
***
8) 【チャンドラワティーとの結婚】カーシー国についてスタソーマはチャンドラワティーと盛大な婚礼の儀
式をへて結婚する.初めはチャンドラワティーは結婚に不本意であったが,前生においてワイローチ
ャナの妃ローチャナーであったことを自覚する。新婚の夜,二人は自分たちが前生においてワイロ
ーチャナとローチャナーであったことを想起する.
9) 【スタソーマの帰還と即位】
スタソーマは妃とダシャバーフを伴ってハスティナ国へ帰還する.美しくロマンティックな旅の情景の
描写.スタソーマは父王に代わって王位につき,ダシャバーフは守備隊長としてハスティナ国に留ま
る.
10) 【プルシャーダの百王捕獲】その頃,足の傷から重い病にかかっていたプルシャーダは,傷が回復
すれば100人の王を犠牲に捧げようとカーラ神に誓いをたてる.首尾よく治癒すると,悪鬼の軍団を
率いて99 人まで王を捕獲する.シンハラ国のジャヤウィクラマ(実はウィシュヌ神の転生)が抵抗の
東南アジア古典文化概説 講義 2008S2-#11
末に戦死したので生け捕ることができなかったが,計略によって100 人めの王を捕らえるのに成功
しカーラ神に捧げる.しかしカーラ神は捕獲された王たちに不満を示し,唯一無比の生け贄としてス
タソーマを要求する.プルシャーダとその軍団はハスティナ国へ進軍を開始する.
11) 【プルシャーダのハスティナ攻撃】スタソーマは自らを犠牲に捧げることで戦闘を回避することを希望
するが,ダシャバーフたちは抗戦の道を選び,戦闘が始まる.多くの死者を出す激戦の末,ルドラ神
の姿に変身したプルシャーダがダシャバーフを倒し,一時は優勢だったハスティナ側の軍団は壊滅
する.
12) 【スタソーマのプルシャーダ調伏】ついにスタソーマ自身が単身で戦場におもむきルドラ神と対面す
る.ルドラ神は世界を焼き尽くす劫火に変身してスタソーマを焼き殺そうとするが効果はない.その
火が世界を破壊しそうなのを見て,神々が降下し,「ブッダとシワの本質は一つなり」(bhinneka
tunngal ika)という主旨の文句を唱え,ルドラ神に世界を破壊しないよう懇願する.スタソーマが智
拳印を結んで念じると,プルシャーダの体からルドラ神が去り,力を失ったプルシャーダは自身の非
を悔いる.
13) 【スタソーマのカーラ神調伏と天界への帰還】スタソーマはプルシャーダに命じて自分をカーラ神の
所へ連れて行かせ,捕獲された王たちを解放させた後,自らの体をカーラ神に捧げる.蛇に変身し
たカーラ神は彼を呑み込むが,逆に調伏されてしまう.仏門に入ったプルシャーダとカーラ神にスタ
ソーマは教えを説く.戦死者たちはインドラ神の力によって生き返り,祝宴が開かれる.世界に平和
と秩序が回復する.スタソーマと王妃が修行の結果,天界に帰還した後,息子アルダナがハスティナ
国を治める.
参考文献
青山亨 1986 「古ジャワ文学におけるスタソーマ物語の受容と変容」『東南アジア研究』24 (1): 3-17.
―― 1994 「ラーマ、ラーヴァナ、ハヌマーン―ポリフォニーとしての叙事詩とその英雄たち」『しにか』1 月
号.5 (1): 62-67.
―― 1995 「アルジュナウィジャヤからスタソーマへ―歴史的文脈の中の二つの古ジャワ語文学作品」.
『東洋學報』77 巻1-2 号.pp.01-033(200-232).
―― 1997a 「バリ島クルンクン旧王宮の天井画に描かれた『スタソーマ』物語:図像テクストへのひとつの
アプローチ」.『東南アジア史の中の「中央」と「地方」』平成6~8 年度文部省科学研究費補助金
(国際学術研究)研究成果報告書.吉川利治(編).pp.134-152.(大阪外国語大学西日本地区東
南アジア史研究会).
―― 1997b 「古代ジャワ社会における自己と他者―文学テクストの世界観」『地域のイメージ』(地域の世
界史第2 巻)辛島昇・高山博(編).pp. 94-137.東京:山川出版社.
石井米雄・他編 1991 『インドネシアの事典』京都: 同朋舎.とくに「ジャワ文学」「スタソマ」「タントゥラル」
の項目

デワスギのワヤンベベル制作のいきさつ


デワスギは、バリ島の伝統的技法にオリジナル技法を加えて、独自の世界を描きます。
テーマやモチーフは、バリ島に伝わる神話や宗教観や生活習慣が用いられます。
神話を描くうち、そのキャンパスは縦へ横へと拡がってゆき、やがて壁画のような長さにまでなりました。

ちょうどその頃、大阪の文楽劇場で文楽を鑑賞し、物語・人形遣い・音楽にとても感銘を受けました。
偶然にもその時、会場のホールで、当日公演された物語の絵巻物が展示されていて、それを見たデワスギは、絵巻物に大変感銘を受けると同時に、このスタイルを用いれば、神話の一部だけでなく、すべてを描くことができる。と思いつきました。


バリに戻り、横に長い絵巻物の制作に入ります。
絵のテーマとして、古代ジャワで作られた物語を調べるうちに、ジャワ島にも絵巻物スタイルの絵画・ワヤンベベルというものが存在していたことを知ります。
このワヤンベベルは、ワヤンクリット(影絵芝居)のように、ダラン(語り手)と音楽と合わせて公演されていたことを知ります。

デワスギは音楽一家での次男であり、本人も演奏家です。
父親や他の兄弟達は音楽家であり、それぞれ現代に生きる音楽を作り、演奏しています。
兄弟が集まれば芸術論に花が咲き、ワヤンベベルの話になり、デワスギの絵巻、デワブラタの音楽、共同制作で、新ワヤンベベルを作ろう!
ということで、このプロジェクトが始まりました。2007年秋のことでした。


写真は、初期の作品です。

wali.jpg




デワスギは絵巻物の制作を続けて、場面と場面の境などは、日本の絵巻物の手法を参考にして、約4年の歳月を経て、一巻は幅1m・長さ3mの絵巻物を十巻完成させました。

第一作は、古代ジャワ抒情詩「スタソマ物語」をテーマに用いました。
この物語は仏教の教えが基になっていることなどから、ジャワ島では広められず、バリ島へ渡り、大変有名なお話になっています。
現在、第二作目の考案中です。
二作目は、日本の「南総里美八犬伝」をテーマにします

ワヤンベベルとは

ワヤン=絵芝居。 ベベル=繰り述べる・拡げる。

ワヤンベベルとは、その昔、インドネシア・ジャワ島にあった絵巻物芝居です。
はっきりした記録はないのですが、6~7世紀には既に上演されていたのではないかと言われています。
幅60cm~1m、長さ10~30mの絵巻物を、一場面ごとに拡げていきながら、物語を語っていきます。
語りの伴奏にガムラン音楽が入ります。

その後、インドネシアではワヤンクリット(影絵芝居)が一般的に広まったことなどで、
現在はほとんど上映されることがありません。

現在、ジャワ島には、8体の本物の絵巻物が確認されています。語り手は現在2名の方を残すのみとなりました。

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プロフィール

Project  Wayang-Beber

Author:Project Wayang-Beber
バリ島伝統絵画家dewasugiによって描かれた、全長30m​の物語絵巻を基に、バリ伝統音楽や語りや踊りをはじめ、様々な芸術とのコラボレーション公演を行う楽団です。公演情報や作者デワスギの情報などの記録です。

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